肌をジリジリと焦がしていた太陽は傾き始め、極彩色の絵の具を零したかのような空が辛うじて昼の明るさを留めている。時刻は間もなく17時を迎えようとしていた。


「──よぉし、今日はここまでだ!」


 コーチの掛け声を聞きバスケ部メンバーは体育館の中央へ集合する。雪姫もその輪に加わり話を待つ。


「いよいよ来週が全国大会の初戦だ。レギュラーはもちろんのこと、全員気合い入れて行くぞ!」


「「はいっ!!」」


 そう、来週の頭からバスケットボールの全国大会が始まる。故に今後は更に忙しくなり休みは全くない。


 この強豪校において一年生で補欠に選ばれた雪姫は尚のこと。何かをするなら今日の内に済ませなければ、と考えていた。


──この後琥太郎と一緒に児嶋先生を訪ねて、奈々や優兄に無実が証明されたことを伝えて、それから…。


 不意に浮かんだ晴流の横顔。先日お見舞いに行った際"ごめんな"と謝り続けていた、あの辛そうな表情が頭から離れなくて。


「…晴流に、会いに行こう…」


 命を狙われ重傷を負い、今もあの白過ぎる空間に独りきりで居る。たった一人のきょうだいに。