「おい、どこ行くんだよ?」 焦ったような尚を、私はぐるりと目を回してから見下ろした。 「どこって、喉乾いたからキッチンに取りに行くだけ。 …あんたもはやく帰りなよ。」 そう言って、尚の部屋が見える部屋の窓を指さす。 「やだね、俺もなんか飲む。」 「…勝手にして。」 結局追い返せない私は、甘いんだろうけど。 こればかりは惚れた方が負けである。