色恋を抜いたって、私の一番は尚だった。
「…そんなんに縛られてるなんておかしい。
富岡さんはもっと他の男を見るべきだよ。」
「横井君には関係のないことだわ。」
なんでかわからないけど、ムカついた。
縛られてるとか、他の男を見るべきとか、勝手に決めつけられるのはまっぴらだ。
「あなたって、嫌な人ね。」
いくらなんでもできて、顔が良くても、人の気持ちを考えられないような人はダメだ。
掴まれてたてを振り切って、踵を返そうとした時。
「…俺のことちゃんとみてよ。」
「………っ!!」
低くつぶやかれたと同時に、唇に押し付けられたのは横井君の生暖かいそれ。


