「凛…。」

「ノックくらいしてよね。」



いっつも勝手に入って来る尚にいくらこう言っても無駄なんだけどね。



「凛さー、俺が男だってわかってる?」



寝転がる私の横に腰掛けた尚は、急にそんなことを言って私を上から見下ろした。



「…私があんたのことを女だと思ったことは一度もないけど。」



なにを言うんだ、と言った顔をしながらそう言うと、尚は盛大にため息をついた。


「…あんね。違くて。」

「…ちょ、どういうつもりですか。」



私の顔の横に手をついた尚を見つめながら言うと、尚の眉はググッと中心に寄った。