家に着くと、車の音に気づいたのか、2階の窓が空いて健斗が顔を覗かせた。


「お兄さーんッ」


満面の笑みで手を振る健斗。


「おーい、弟ッ」


車から降りてきた勇介も、笑顔で手を振り返す。


そんな2人が可笑しくて、ついついあたしも笑顔になる。


昨日、健斗は家に友達を呼ばなかった。今日も健斗は1人のようだ。きっと、勇介のおかげだと思う。


「姉ちゃんとのデートはどうでしたかー?」


ちょっとちょっと、何言ってんの。そんな大声で。


「あたしたちは、そういうんじゃ…」


「最高だったよーッ」


あたしの声に被せて、勇介は答えた。


眉間にシワを寄せて、勇介を睨む。


「ちょっと。何適当なこと言ってんの?もうここは正直に話そうよ」


すると勇介はいたずらっ子のよう目であたしを見て、


「また電話する」


と意味深なセリフを残して車に乗り込み、さっさと行ってしまった。