忘れた

「太一、お前…変わったな」


俺が驚いて言うと太一は、そうかな、と言って鼻をかいた。


太一は照れると鼻をかく癖があった。こいつは間違いなく太一だ。


「お前は全然変わらねえな」


太一は俺を指差して言った。


「は? 超老けてるんだけど」


俺が憤慨すると、太一はケラケラ笑った。


「まあ、お前からしたら老けて見えるんだろうな。

高校生から、いきなり26歳だもんなあ」


「お前、何でそのこと知って…ああ、母さんか」


俺と太一は小中高と同じ学校で、母親同士も仲が良いのだ。


「携帯の使い方もロクに分かんねえんだって? 俺が教えてやるよ」


太一は机の上の俺の携帯電話を手に取り、勝手に電源を入れてしまった。


「ん? これ、誰? 勇介の彼女?」


そう言って、ロック画面に表示された写真を俺に見せた。



俺と奈緒の、どアップツーショットだ。