忘れた

「なんでよー、ケチ」


口を尖らせるあたし。もー、つまんないなあ。話題終わっちゃったじゃん。


何かないかな、話題。


あ、そういえば、あたし早水の連絡先知らないや。


「早水、連絡先教えてよ」


「え?」


一瞬の間の後、早水は言った。


「いいよ」


「よっしゃ、じゃあ携帯出して…あーッ」


あたしは携帯を落としてしまった。


それを拾おうと屈んだとき、頭に強い衝撃が走った。


目の前にどアップの早水の顔。ああ、早水も拾おうとしてくれて、頭がぶつかったんだ。


「悪りい…」


申し訳なさそうな早水の顔が可笑しくて、つい吹き出すあたし。


すると早水は、片手であたしの頭を包み込み、ゆっくり自分の顔を近づけ始めた。


え? ちょっと、どういうこと?


「ちょっ…」


早水は、あたしの唇を自分のそれで塞いだ。