気付けば結のアパートの階段を上がっていた。
「嘘だろ…」
上がりきった所で額を抱える。
ちょっと待ってくれ、重症すぎやしないか。
人のことを面倒くさいとか言うくせに、俺もかなり面倒な人間だ。今改めて思い知る。
「…なにしてんの?」
後ろから声をかけられた。あ、邪魔だった、と振り返る。
「…なんとなく」
「…なんとなく?」
張本人がいた。
スーパーの袋を持って首を傾げた結は、怪訝な顔をする。
カサカサ揺れるビニールの中に入っているのは今日の夕飯の材料なのか、少し重そうだった。
無意識にそれに手を伸ばして受け取る。
「あ、ごめん」
何故か謝られて、それでも重症な俺は何も返せなかった。



