あたしは哲を好きだけれど。 この手を握るのはあたしじゃないって、もうずっと前から知ってるんだよ。 『今日濡れなかっ……て思って』 氷枕に氷を入れる音で半分聞き取れなかったけれど、なんとなくで返事をする。 「ああ、うん」 『あの子って、前に言ってた一緒に住んでた子、だよね?』 栓をしてそれを均す。 住んでた子。 そんな話を南雲にしたっけか。 過去形の言葉にひっかかりながら手を拭いた。 「うん」 今も家に居て眠ってるけれど。