空とマンホール


哲があたしのことを嫌いだから? もうこの家には居られないから?

どれを言ったら、哲パパが許してくれるだろうか。

小学生なりに考えて削った。哲パパはあたしの言葉を待っていてくれている。二人の間に不思議な沈黙が降る。

「……哲が好きだから」

口から零れた言葉はそんなこと。

少しも驚かない哲パパに、あたしが驚いた。

「え?」

「え、どうして結が驚いてるの?」

「あ、ううん、え、」

明らかに挙動不審なあたしに少し笑う。
好きだって言ってしまった。

その想いを口にしたのはそれが初めてだった。