哲の家というのは勿論、哲とその家族の住む家。あたしの家族は、あたしが幼い頃、交通事故で亡くなった。

身よりが無いわけじゃないけれど、家族ぐるみで付き合ってくれていた哲の家族に住むことになった。

喧嘩をしたとか気まずくなったとか、そういうことではない。本当の子供を育てるみたいに同じように接してもらったことに、あたしは一生をかけても恩を返しつくせない。

でも、高校に入ったら何がなんでも哲の家を出ることは決めていたから。

そんなことを昨日の夜急に言ったのを、哲ママがひとつ返事で許すはずもなく。