先輩は何も言わずに遠くを見ている。 「良い後輩が出来てよかったな」 「先生が掻き乱してるんですよ、分かってます?」 「あ、もう下校時間だぞ、帰る支度しな」 砂藤さん今度教えてあげるよ、と先生が言ったのを聞いてあたしが笑った。 そうだった。 「あ、教室に傘忘れてきた。先帰ってて良いよ、砂藤さん」 「はい、あの、先輩」 うん? と先輩が肩越しにこちらを窺う。視線が顔より下にさがるのを感じた。 「さっきの、怒りましたか?」 「怒ってないよ、もしかして気にしてた?」 それは勿論。