美術部は熱心に活動する部員を募集しています。

それを大きく描いて階段に貼ったとして来るとは限らないけれども。

今年も顧問を見て美術部に入る人の三分の一くらいは美術室に残るくらいの神経があってほしい。

「モチーフとか決めてる?」

「一応空をイメージしてます」

「それはまた難しいことに挑戦するな」

呆れたように笑う先生は、画用紙を机に置いてさらさらと描き始めた。

紙を押さえる左手薬指には指輪が納まっている。女子がそれを見てがっかりする顔を何度も見た。

先生曰わく、恐ろしく生活能力のない奥さんらしい。何故そんな人と結婚したのかは明らかになっていないけれど、今はそんなことどうでも良い。

明後日までに三枚のポスターを終わらせないと。