あれってさ、ほんと?
ドリブル練習の最中。三年と二年は監督の所へ集まっていて、まだ入部もしていない一年だけがドリブルをしていた。
基本が出来ないなら何も出来ない。そんなスタイルのバスケ部は、結構気に入っている。
「何が」
同じクラスで人懐っこい感じの男、敬司は器用にドリブルしながらこちらを見た。
「砂藤さん、お前と住んでたって」
さとうさん、人から聞く結の名字は聞き慣れない。
ダンダンダンと弾む音が体育館に響いている。
「何で?」
「何でって。砂藤さんって入学してから先輩とかから滅茶苦茶呼び出されてるって噂じゃん」



