空とマンホール




翌日、あたしは午前中に家を出た。

「来週もちゃんと顔見せにきてね。はい、これれ蓮根の煮物」

パックに入れられたそれを持たされた哲がいた。

受け取ろうと手を差し出すと、一緒に玄関の外まで来る。

「え、何?」

「送る」

「いいよ、普通に近いし。明るいんだから」

「あっちに用があんだよ」

すたすた歩き出した哲の背中を見て、諦めた。本当に、何なんだろうか、この前から。

と思えば、うちの方向ではない方へ曲がってしまうし。

「道、違うけど」

背中に言ったって、無言が返ってくるばかり。