空とマンホール


中学の半分を過ぎたくらいから、あたし達の家庭内での会話は少なくなっていった。男女のキョーダイは大体そんなものよ、と哲ママが言っていたのを思い出した。

「いちおう」

「それって顧問が格好いいから? それともあの先輩がいるから?」

「…は?」

「いきなり部活入るとか言うから。小中は入ってなかったのに」

あたしにそれを言わせるつもりか。

す、と自分の中の熱が冷める。頭の中が冷静になって、哲の目を見る。

哲はあたしのことが嫌いだから。

「小中とも、いじめられてたから。入らなかったのはそれだけの理由。おやすみ」

ちょっと悲しそうな目をした哲を置いて、あたしは自分の部屋だった場所に籠もった。