そういうの、とは。
恋愛感情のことだろうか。
「ううん、ずっと決めてたから」
きっぱりと言うと、哲ママはもうそのことについて話さなかった。
夕飯を食べてリビングで哲パパの見ている野球を食卓の椅子からなんとなく見ていると、隣の椅子が引かれた。
哲ママはお風呂に入ったはずだから、隣に座っているのは哲だ。
野球見るならあたしの前の椅子に座った方が見やすいのに、と思いながらそこを立ち上がった。
「美術部入んの?」
話しかけられたことに驚いてそちらを向く。
お風呂上がりで、麦茶のコップを持っている哲があたしを見ていた。



