哲の家の道とは反対。勿論反対だからここにしたのだけれど。 「母さんが偵察しにいけって煩いから」 「そう」 「で、家は?」 ここ、と上を差す。アパートの二階の明かりのついていない部屋。 それを見た哲は、帰るのかと思ったら、何故かアパートの階段を上っていく。何をするつもりだろう。 慌てて追いかけると、鍵を入れて回す姿。 「何で鍵持ってんの?」 「母さんから預かった」 ガチャリと音を立てて扉は開いた。私の家の扉が。 開けたまま止まっているから、今度は何かと、そちらを見た。