えー、とシンキングタイムに入る。自分も考えて、その答えを待った。

『マンホール、とか?』

「マンホール?」

『市によってデザイン違うし。オリジナルのマンホールでも作れば?』

尤もらしい意見を聞けて、大満足。電話を切ってイメージを膨らませていると、美術室の扉が開いた。

「一緒に帰る」

男子の声に、少しだけそちらを向けば、例の汐野くん。噂をすればってやつか。
砂藤さんが現れて、テーブルの上に模造紙の入った箱を置いた。

「お疲れ様…砂藤さん、良い事あった?」

「お疲れ様です。先輩こそ何か良い事あったんですか? 顔がイキイキしてます」

「あ、それは多分、良いアイディアを貰ったからだと思う」

へえ、と砂藤さんもわくわくした顔をしながら近くの椅子に座った。
思えば四月は自分一人でここに座ってポスターと先生と対峙していたのかと思うと懐かしい。