そう言って離れた敬司は階段を上がって行った。 俺は誰もいない特別教室に入って、立ったまま南雲を待つ。長く話すつもりはなかった。 「ごめん、遅れた」 ガラリと扉が開いて南雲が現れた。 「いや、大丈夫」 「どうしたの?」 思えば結以外の女と二人きりになるのは初めてだ。でも、今日はちゃんと許可を取ってきた。 『そんなの言わなくて良いのに』 と言った結は、男子に告白を受けた時は二人きりだったのだろう。 「聞きたいことあって」 南雲の顔が少し曇った。