空とマンホール


ガチャン、と玄関の扉が閉まる音に我に返って、結が出ていったのが分かった。














抱きしめてくれた腕は、あたしのモノなんかじゃないのに。
ふざけてそんなことをしてくる哲の背中に危うく手を伸ばしてしまいそうになる自分を叱咤する。

哲が幸せになるのだから、最後くらい良いじゃないかと、そんなことを思った自分を呪う。

告白なんかしたから、罰が当たったんだ。

玄関を飛び出して宛もなく走った。

夜だというのに日本の夏は湿度から逃れられない運命なんだ、きっと。