アイスルココロ



「日直さん。ホッチキス止め手伝って。」



まだ『いい』とも言っていないのに、ドサッと私の机にプリント用紙を置いたのは、片平悠李(かたひらゆうり)くん。


教室には片平くんと、2人きり。

接点はクラスメイトで、隣の席の男。それから、学年でも学校内で1番目立つと言っていいほど、この男はかなりの有名人だということ。


黒い髪は顔のつくりに合ったヘアスタイルに整えられていて、小さな顔に、切れ長の目は近くで見るとほんのちょっとたれ目な甘い瞳。目の下にある小さなほくろ。 筋の通った形のいい鼻、 太すぎず薄すぎずな綺麗な形をした唇。

かなりモテるんだと思う。

クラスメイトで隣の席だけど、片平くんと喋った事なんて無いに等しい。話した記憶はあるけど、どれも挨拶程度。