グレープフルーツを食べなさい

 会社からの帰り道、マンション近くのスーパーに立ち寄って、夕飯の食材を買って帰った。

 私は普段からできるかぎり自炊をするようにしている。

 コンビニの弁当や買って来た惣菜じゃ、毎日の仕事を乗り切る力も湧いてこないような気がするから。

 食事とシャワーをすませ部屋でくつろいでいると、突然玄関のインターホンが鳴った。

 時計はすでに午後10時を指している。こんな時間に約束もなしにやってくる人なんて誰も思い当たらない。

 きっと部屋を間違えたんだろう。そうでなければ酔っ払いかな。

 私はしつこく鳴るインターホンには応答せず、突然の来訪者が間違いに気付き去っていくのを静かに待った。