グレープフルーツを食べなさい

「……へえ、そうなんだ」

 まさか……、ね。私の気にしすぎだ。独身の上村が、いくら何でもそんなことまで知ってるはずない。

 例え知ってたとしても、そんな理由で私に持ってくるなんてこと……。

「三谷さん、どうかしたんですか?」

「あ、ごめん。ちょっとぼおっとしちゃった」

「早く行きましょうよランチ。お腹の赤ちゃんの写真、ちゃんともらってきました? 私にも見せてくださいね」

 浮かれている美奈子を余所に、私は心の中から上村の影を追い出そうと必死だった。