「私やっぱり、三谷さんはバカだと思います」

「バカって……相変わらずね、美奈子。バカな人間に無理してつきあうことないわよ。私は一人でも平気なんだから」

「もう、またそういうこと言う。そんなんだから、会社でもお局扱いされてたんですよ」

 真顔で私のことを叱る美奈子を見ていたら、つい吹き出してしまった。

 三月のよく晴れた水曜日、何故か美奈子と連れ立って妊婦検診に行くはめになった。

 三月の頭には有給消化に入っていた私はともかく、平日だからいいと断わったのに、美奈子は有給を取ってまで着いてきてくれた。

 一人で子供を産む私のことが、心配なんだと言う。

「子供のこと知ってるの私だけだから、責任を感じるんです」

「ずいぶん真面目になったよね。ちょっと前までは合コンの女王だったのに」

そう言い返すと、「ふざけないでください」と言ってまた怒られた。


やっぱり、美奈子はちょっと手強い。