グレープフルーツを食べなさい

 岩井田さんが待ち合わせに指定してきたのは、別館もある老舗デパートの裏手にある喫茶店だった。

 一昔前にタイムスリップしたような、モダンで雰囲気のあるお店が立ち並ぶ通りを歩いて、待ち合わせの店へ向かう。

 喫茶店の入り口のドアを開けると、ドアベルがカラコロと牧歌的な音を奏でた。

「あ、三谷さんこっち」

 岩井田さんは、入り口に近いテーブル席でコーヒーを飲んで待っていた。

「岩井田さんすみません、お待たせして」

「いや、僕も来たばかりだから。三谷さんもコーヒーでいいかな」

「はい」

 岩井田さんは顔見知りらしいウェイターに追加のオーダーをすると、私の分のコーヒーがテーブルに届くのを待って話しはじめた。