「もう。しっかりして、響子」
「しっかりしてますぅ……」
脱力した人間とは、どうしてこうも重いのか。
一次会を終えた店の前で、私は左手に二人分の荷物を持ち、右手で響子を支え解散の声がかかるのを待っていた。
「三谷さん、中山さん大丈夫ですか?」
そう話しかけてきたのは、新入社員の岸くんだった。学生時代を大阪で過ごしたという彼には、まだ少し関西の訛りが残っている。
「大丈夫よ、すぐにタクシー捕まえるから」
「俺も一緒に送って行きましょうか?」
「ううん、平気。響子っていつもこうだから慣れてるし。岸くんは今日の主役の一人なんだから、ちゃんと二次会へ行って」
「……わかりました。何かあった時は電話くださいね」
「うん、ありがとう」
「それじゃあ、失礼します」
そう言って頭を下げる岸くんに、両手が塞がっている私は、手を振るかわりに頷いてみせた。
「しっかりしてますぅ……」
脱力した人間とは、どうしてこうも重いのか。
一次会を終えた店の前で、私は左手に二人分の荷物を持ち、右手で響子を支え解散の声がかかるのを待っていた。
「三谷さん、中山さん大丈夫ですか?」
そう話しかけてきたのは、新入社員の岸くんだった。学生時代を大阪で過ごしたという彼には、まだ少し関西の訛りが残っている。
「大丈夫よ、すぐにタクシー捕まえるから」
「俺も一緒に送って行きましょうか?」
「ううん、平気。響子っていつもこうだから慣れてるし。岸くんは今日の主役の一人なんだから、ちゃんと二次会へ行って」
「……わかりました。何かあった時は電話くださいね」
「うん、ありがとう」
「それじゃあ、失礼します」
そう言って頭を下げる岸くんに、両手が塞がっている私は、手を振るかわりに頷いてみせた。


