私の顔の横に両手を突き、顔だけを美奈子に向け固まっている岩井田さんを押しのけると、私は今にも立ち去ろうとする美奈子の制服の裾を掴んだ。
「違うの美奈子!」
美奈子は私の声に振り向くと、私と岩井田さんの顔を見比べるようにして、ひどく冷静な声で答えた。
「お取込み中、大変失礼いたしました。……出直します」
そう言って私と岩井田さんに一礼すると、くるりと踵を返す。
「ちょっと、待ってったら! ねえ、美奈子!?」
美奈子は必死で呼び止める私を振り返りもせずに、足早に去っていった。
「す、すみません三谷さん。大丈夫ですか?」
岩井田さんは何とかベンチから立ち上がると、私に声をかけた。こんなところを女子社員に見られてしまって動揺しているのか、眼鏡がズレているのにも気付いていない。
「違うの美奈子!」
美奈子は私の声に振り向くと、私と岩井田さんの顔を見比べるようにして、ひどく冷静な声で答えた。
「お取込み中、大変失礼いたしました。……出直します」
そう言って私と岩井田さんに一礼すると、くるりと踵を返す。
「ちょっと、待ってったら! ねえ、美奈子!?」
美奈子は必死で呼び止める私を振り返りもせずに、足早に去っていった。
「す、すみません三谷さん。大丈夫ですか?」
岩井田さんは何とかベンチから立ち上がると、私に声をかけた。こんなところを女子社員に見られてしまって動揺しているのか、眼鏡がズレているのにも気付いていない。


