私は慎重に、その一番上に鎮座するグレープフルーツを手に取った。
上村が部屋に来るたびに口にしていたから気付いていなかったけれど、よく考えたらこうして自分で買うのは初めてだ。一個でも十分持ち重りのするそれを手のひらに乗せていると、今年の春に上村と再開してからの数ヶ月のことが次々に浮かんでくる。
「もう一つ、買っておこうかな」
空いた方の手で、あと一つグレープフルーツを掴もうと手を伸ばすと、それまで完璧に保たれてきた果実の均衡が脆くも崩れ去ってしまった。
「うそっ、どうしよう!」
次々に、まるで雪崩でも起きたかのように一斉にグレープフルーツたちが床目掛けて転がり落ちていく。私は、カートからカゴを取り出し、手に持ったままだったグレープフルーツをカゴの中に押し込むと、慌てて床にしゃがみこみグレープフルーツを拾い出した。
上村が部屋に来るたびに口にしていたから気付いていなかったけれど、よく考えたらこうして自分で買うのは初めてだ。一個でも十分持ち重りのするそれを手のひらに乗せていると、今年の春に上村と再開してからの数ヶ月のことが次々に浮かんでくる。
「もう一つ、買っておこうかな」
空いた方の手で、あと一つグレープフルーツを掴もうと手を伸ばすと、それまで完璧に保たれてきた果実の均衡が脆くも崩れ去ってしまった。
「うそっ、どうしよう!」
次々に、まるで雪崩でも起きたかのように一斉にグレープフルーツたちが床目掛けて転がり落ちていく。私は、カートからカゴを取り出し、手に持ったままだったグレープフルーツをカゴの中に押し込むと、慌てて床にしゃがみこみグレープフルーツを拾い出した。


