グレープフルーツを食べなさい

「それも……そうですね」

 周りが若い女の子ばかりで、話し相手がいなくて退屈そうな部長に気づいたのか、ようやく上村が腰を上げた。上村が戻ることを察知して、美奈子が慌てて笑顔を作る。

 ……何あれ、まるで百面相だわ。

 あからさまな美奈子の態度に、つい苦笑が漏れる。

「じゃあ先輩。中山も、これからよろしくお願いします」

 上村はコップのビールを飲み干すと、響子の肩を軽く叩き部長のもとへと帰っていった。

 やっと上村がいなくなった。これで楽しくお酒が飲める!!

「あー、ビール美味しい!! 響子、おかわり頼む?」

 上機嫌でジョッキを置くと、響子は不機嫌そうに頬を膨らませていた。