グレープフルーツを食べなさい

 会社からまず母の病院に行き、その帰りにスーパーに寄って夕食の材料を揃えることにした。八月の夜のはじまりは遅い。最寄のバス停でバスを降り、ようやく暗くなり始めた通りを歩いて目的の店を目指した。

 スーパーの自動ドアを抜けると、外との温度差に驚く。蒸し暑い中歩いて来たせいで体中に浮かんでいた汗が、一気に冷えて一瞬身震いがした。

 カートに買い物カゴを載せ、入り口側から順に歩いていく。サラダ用の野菜を選びながら陳列棚の間を歩いていると、ついそれを見つけてしまった。

 フルーツコーナーの真ん中に山のように積まれたグレープフルーツ。閉店まであまり時間がないというのに、たくさんの丸い果実で作られた綺麗なピラミッドはまだどこも崩れてはいない。