グレープフルーツを食べなさい



「三谷さーん、久しぶりのランチなのに何ボーっとしてるんですかぁ」

「あ、響子ごめん。で、なんの話だったっけ?」

「だから、美奈子ですよ。美奈子!!」

 私は久しぶりに響子に誘われて、会社近くのカフェへランチに来ていた。

 響子が私を外ランチに誘うときは、たいてい何か聞いてほしいことがあるときだ。

「そうそう、美奈子のことだったわね。それで、そんなにひどいの、美奈子?」

「もうホント、ひどいなんてもんじゃないですよ!」

 私が訊くと、響子はテーブルに両手をついて身を乗り出して来た。反動でグラスの水が波打つ。

「三谷さんが異動した途端、自分がリーダーみたいな顔してばんばん仕事回してくるし。ホント冗談じゃないです!」