グレープフルーツを食べなさい

「違う、あんたには関係ない」

 上村の声の冷たさに驚いた。いつもの飄々とした感じも消えている。

「……関係ないって、そんな言い方ないんじゃないの?」

「そうですね……すみません」

 私の言葉に冷静さを取り戻したのか、上村は素直に謝った。気まずいのか、そのままソファーに座り込んでいる。

「仕事のトラブルとかじゃないの? 私じゃ役に立てない?」

「大丈夫ですから、本当に」

 気にはなるけれど、これ以上私が触れない方がいいだろう。黙り込んだままの上村に、今度は私の方が折れた。

「もういいわ、私もしつこかった。一緒にグレープフルーツ食べよう。私は上村とケンカしたいわけじゃないよ」

「それは、俺もそうだけど……」

 上村はそっと安堵のため息を漏らした。抑制が効かなくなった自分を恥じているようにも見えた。