グレープフルーツを食べなさい

「……何言ってるの?」

「後悔してるんでしょう、浴衣を着て見せてないこと」

 ……どうして。どうして上村は、いつも私の心を見抜いてしまうんだろう。

「それは……そうだけど。でも私と一緒に行くって、上村その意味わかってるの?」

「わかってますよ、もちろん」

「それならどうして? こんなことに上村を巻き込むわけにはいかないよ」

「俺なら構いませんよ」

 私を覗きこむ上村からはいつもの皮肉めいた表情は消えている。上村は決して面白半分で言っているんじゃないということが私にもよくわかった。

「やっぱりダメよ、そんなこと絶対にダメ。それに上村を連れて行けば、母さんにも嘘をつくことになる」

 私の肩を掴んだままだった上村の手の力が更に強くなった。両肩にはっきりと指先の圧力を感じる。