グレープフルーツを食べなさい

 比良さんは、その後も二号店の構想や試作中の新メニューのことなどを話してくれた。

 上村はその一つひとつに丁寧に耳を傾け、時には自分の考えも躊躇なく述べる。こんなふうに熱く語る上村の姿を見たのは初めてだった。

 私は白熱する二人に圧倒されて、ただ見守ることしかできなかった。


「三谷さん、すみません。せっかくお休みの日に食事に来て下さったのに仕事の話ばかりしてしまって」

「いえ、お話とてもためになりました。食事も美味しかったです。ありがとうございました」

「またいらしてくださいね。お待ちしてます」

 比良さんは私たちが見えなくなるまで、店の前で手を振っていた。

 気さくな比良さんの人柄と料理への真摯な姿勢に、お腹だけでなく心まで満たされたような気がした。