グレープフルーツを食べなさい

 本筋であるアーケード街から斜めに伸びた細い路地に入る。しばらく行くと、どこかで見覚えのあるお店が見えた。

「上村、このお店……」

『リストランテ Hira』
 上村が連れてきてくれたのは、オアシスタウンに二号店をオープンさせようと、上村がずっと交渉していたあのレストランだった。

「やっと客として来ることができました」

 上村は私を振り返り、ようやく目を合わせて話してくれた。その表情はどこか誇らしげだ。

 白い木製のドアを開け中に入ると、そろそろランチタイムは終わろうかという時間なのに、店内はまだまだお客さんでいっぱいだった。

「いらっしゃいませ、上村さん。お待ちしていましたよ」

 入り口で上村と二人、案内されるのを待っていると、一人の若いシェフがこちらへ歩いてくるのが見えた。とても体格がよくて、ユニフォームを着ていなければ格闘家か何かと間違えるかもしれない。