グレープフルーツを食べなさい

「……へえ。上村でも手こずることあるのね」

「当たり前でしょう。いつもいい時ばっかりじゃありませんよ」

 そう言ってキッチンに立つ私の目の前に伸びてきた上村の手のひらを、私はピシャリ! と叩いた。

「まだ食べてもいいなんて言ってないわよ」

「まだ、ってことは、後で食べていいってことですよね」

 上村の口元がニヤリと歪む。

「まったく! 小学生じゃあるまいし」

「俺、皿取りますね」

 上村は私の返事も待たずに勝手に食器棚を開けている。上村から皿を受け取り、コロッケとサラダを二人分盛り付けた。

 明日母へ持って行く分は、上村が見てない隙にタッパーに入れて冷蔵庫の奥に隠した。