グレープフルーツを食べなさい

 家でコロッケを揚げながら、明日も残業せずに帰るにはどうしたらいいかを考えた。

 ああ、やっぱりあの仕事は持ち帰ればよかった。それとも明日は少し早めに出勤して片付けちゃう?

 そんなことを考えながら、最後の一個を揚げ終えた時だった。また、コツコツと玄関のドアを叩く音がする。

 ……ああ、このノックは上村だ。

「何?」

 上村の顔を見ると、昼間の会社の女の子との会話が蘇ってくる。今日は私が仏頂面でドアを開けた。

「何って、俺が来たら飯に決まってるでしょう。お邪魔します」

 むすっとした私などには一切構わず、上村はいつものように勝手に部屋に上がりこむ。今日もまた、グレープフルーツが入ったビニル袋を押し付けられた。