「・・・あのね冬也くん。」
言いづらそうに実子さんが顔を上げて俺を見る。
ーーなんだろう。
「はい。」
あんまりいい予感はしない。
「わたしね、高校を卒業したら結婚するの。」
ーーーあぁ。
彼女はこれを言いに俺の所まで来たんだ。
「・・そうなんですか。」
「ええ。とても素敵な方なの。きっと幸せになれるわ。」
ふんわり笑う彼女の顔から、目線を逸らす。
とても見ていられなかった。
色んな感情が渦巻いている。
ドロドロと黒いものが湧き上がって来る。
「おめでとう・・ございます。」
俺にはこの言葉を言うので精一杯。
あぁ、泣きそうだ。
「ありがとう。」
そう言って微笑んだ彼女の左手の薬指には、銀色の指輪が光っていた。


