「──はぁ、はっ、はっ…はあ」




呼吸が苦しいのか心臓が苦しいのか、わからない。



それはきっと全力で走ってるからだ。



なのに、どうしてこんなにも涙が溢れるの?



たった一度だけ、長話しただけなのに。



居ない存在のように自ら過ごしていたのに。人から裏切られるなんて慣れていたのに。



利用されようとしているのかもしれないって思うと、胸がきゅうって痛くなる。



こんなことなら最初から関わらず逃げていれば良かったのに…



以前の私なら、絶対に親しくもない男の人とは口も利かなかったのに…



どうしてこんなにも悲しいのだろう。