「…んだよ、お前。」
私の腕をつかむ男も、負けじと睨み返す。
にらみ合いが続き、ピリピリとした空気が流れる。
「…悪いけど。こいつが好きなのは俺だから。」
「………っち。」
はっきりと言い放った隆太さんに、若い男は舌打ちを残して去っていった。
解放された私は、塀にもたれ掛かるようにして座り込む。
「バカじゃねーの?道分かんねーのにこんな夜中に飛び出して。心配するんだけど。」
少し責めるような口調で言う隆太さん。
私は、安心感からかさらに流れ出した涙を堪えることができなかった。
それと同時に溢れ出す気持ちも、もう押さえ込むことなんてできなくて。
私は、俯いたまま口を開いた。
『……なんで、来たの?』



