…ん、え?彼氏いるの?
「…あーいや、初対面でこんなこと言うのも恥ずかしいんだけどね、私今の彼が初彼で。」
頭をポリポリとかきながら話す、彼女…モドキさん。
「その彼の誕生日にあげるものを、隆太に選んでもらったんだ。」
そう言ってから、「その節はお世話になりました。」と頭を下げる。
それに対し、隆太さんも「いえいえー」と頭を下げて笑っていた。
「彼女じゃねーんじゃん」
少し後ろから、蓮斗くんの呆れ気味に呟く声が聞こえる。
明らかになった事実に、私は正直に嬉しかった。
…隆太さんに彼女がいなかった。
こんなことで喜んで、隆太さんからしたら迷惑でしかないかもしれないけど、嬉しくて嬉しくて、勝手に頬が緩んでしまうんだから仕方ない。



