怒ったように膨れた私の頭を、隆太さんはぽんぽんと触る。
その行動が、私にはとても嬉しくて、私はそのまま大人しく撫でられていた。
「あれっ、もう演奏終わっちゃった!?」
そのとき数人かで入ってきたお客さんに、クラスメートが対応する。
「申し訳ありません、ちょうど今、演奏が終わって。」
「えーー、そんなぁ。」
そんな会話を聞きながらも、私の位置からは身長が高い隆太さんの影になってお客さんの顔が見れない。
「来るのが遅いから悪いんだよー」
「そーだそーだ、ドンマイっ!」
そのとき、友美さんと和馬さんの声も聞こえて、友達なんだと知る。
「えー、なに、友美達聞いたの?」
そう言いながら、教室内へと入ってくる足音。



