「ごめん、ヒナコ。待った?」
突然私に向けて声がかかって私は顔をあげた。
蓮斗くんがいるのを確認した途端、蓮斗くんの腕が私の頭をとらえて引き寄せた。
立ってる蓮斗くんと座ってる私。
自然と顔を蓮斗くんのお腹に預けることになってしまった。
1度は顔をあげようとして抵抗した。
でも、蓮斗くんが腕の力を抜かなかったから。
いや、それが、隆太さんから顔を見られないようにしてくれると分かったから。
私は大人しく、蓮斗くんに従った。
隆太さんは「ヒナコ」と呼ばれた私を気にすることなく先へと歩いていったみたい。
ゆっくり離された手を追うように、私は蓮斗くんの顔を見た。
なぜか私は蓮斗くんを見たら、堪えていた涙が溢れ出してしまった。



