三十路男の最近の悩みは、明日の事だ。
「仁、来週の日曜日あいてる?」
すみれからの突然の電話で、初デートが決まった。
「仁に任せるからね、楽しみだな、初デート。」
意識的なのかそうじゃないのか、プレッシャーをかけて電話を切ったすみれの声は心なしか浮いていた。
再開の日は貪るように彼女を抱いて、次の日出勤だった俺たちはそれきり会っていなかった。
…あいつの好きなもんとかしらねぇな。
特に話しをしたわけでもなかった5年前の数ヶ月に、今更ながらに呆れる。
別に会話くらいしときゃよかったじゃねーか。
…というわけで悩みに悩んでいた。