【短編】髪にキス。




「いくら忘れようと思っても無理だった。

…おかげで5年間左手が彼女だ。」


あ、そうだ、先生は左利きだったっけ。


「またそうやって下ネタする。

…だめだよ先生、今日は今からちゃんと車で家まで送ってもらうから。」


「まだ7時だぞ?」


クリスマスに大人が七時帰りなんて、と怒ったように彼は言った。


「今日は両親ラブラブ旅行行ってるから。

ちゃんと送って…あとは言わなくてもわかるでしょ。」


5年も待たせた私の精一杯のお礼だったりする。


だから察してください、先生。