【短編】髪にキス。




「きっと、俺のさみしさを埋められる奴はお前だけだよ。」



つぶやくように言った先生に、私は目を見開く。


「だからどこにも行くな。
勝手にいなくなるな。

…どんなに辛くても生徒として俺の近くにいろ。」



あなたは残酷で、それでいて優しい。


「まだ3ヶ月くらいもあるよ。」

「あぁ。」

「大学は4年もあるよ。」

「あぁ。」

「大人になったら、先生のこと仁って呼んでもいい?」

「…あぁ。」

「それまで待っててくれるの。」

「当たり前だ。死ぬ気で勉強しろ。」