【短編】髪にキス。




「でもね、怪我をしてここに来た時あったでしょう。

その時この紅茶を淹れてくれて、ちびちび飲む私を笑った先生が……。

いつの日かここに来るのが楽しみで、水戸先生がいない時を見計らって通うようになった。」


黙ってきく先生が好きだと心が叫ぶ。


でも私は、それを言うことができない。


「私はね、言わないよ先生。
それに、先生にも言わせない。」


私はそう言って艶やかに笑う。


好きなんて言わせない。


だって私はあなたを


愛しているから。