保健室の前でまごついていると、ガラリと音がしてパッと顔を上げた。


「あらっ、すみれちゃん。
さっきから橋村先生がそわそわしてると思ったら、そういうことねぇ。

全く、あなたが明日翔君とゆかりちゃんの娘じゃなかったら全力で反対してたわよ?

…道を間違えないようにね。」


水戸先生は父と母にその昔息子を助けられたらしかった。


もともと気さくなタイプの水戸先生はすぐに母と打ち解けたらしく、とてもよくしてくれるいい人だった。



「いろいろご迷惑おかけしました。
…父には内緒ですよ。」


目くじら立てて怒るだろうから、もちろん先生を。


うふふふと笑って去って行った水戸先生を見送ると、私は意を決して保健室へ踏み込んだ。