【短編】髪にキス。




「ありがとう。
先生はコーヒーなんだね、いい香り。」


「香りだけ、だろう?」


ソファにぽすっと沈む彼女にホットの紅茶を淹れてやると、必ず必要以上にフーフーと冷まし、必要以上にビビりながら中身を啜る。


「相変わらずの猫舌だな。」


俺が呆れたように言うと、彼女はくすりと微笑んでいった。


「先生も相変わらずよく飲むね、コーヒーなんて。」


その言葉に俺は曖昧に笑った。